クリエイターズインタビュー

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ドラマ「クライマーズ・ハイ」    ADってどんな仕事?
テレビ番組製作会社には「映画が作りたくて」入ってくる人もいる。「え? 映画会社じゃなくて?」と思う人もいるかも知れないが、ドラマや映画を中心に作っている製作会社もあるのだ。(株)ビーワイルドもそんな「映画を作っている製作会社」のひとつ。入社3年目、AD=助監督でもある市川豊さんに映画作りの大変さと面白さについて話を伺った。市川 豊さん写真ウチの会社は大阪に本社、名古屋に支社があり、そっちではバラエティー番組を作っているんです。そして僕が今いる東京オフィスではTV番組も映画も作っている、というちょっと変わった体制ですね。テレビと映画両方を作っているというのは珍しいと思いますね。僕も元々は関西の出身。最初は大阪の本社に勤めていたんです。2年目に異動で東京に行ってこいということになり…現在に至っています。

就職活動うんぬんの前に、実は僕、知り合いの伝手で大学の頃から放送作家のアルバイトをやっていたんですよ。京都の某局でインターンシップをやっていたときに知りあい、「このまま放送作家になるのかなー」とぼんやり思っていて。ですから就職活動を全然してなかったんですね。

で、卒業する直前になってこの会社を受けたんです。とはいえ、多少なりとも経験者ですから、リクルートスーツを着て面接して…っていう、いわゆる「就職活動」というのでもなかったですね。ちょうど募集しているっていうので脚本を持っていって見てもらうというスタイルで。役員の方に見てもらい、「じゃあウチ入るか」みたいな感じでそのまま採用に(笑)。面接というより打ちあわせみたいな感じでした。

1年目は大阪でバラエティ番組のADをやっていました。読売テレビの『激テレ★金曜日』という番組なのですが、宮根誠司さんを司会にした2時間のニュースバラエティですね。週末の夕方からの番組なので、この一週間にあった社会ニュースから、芸能・スポーツまでを面白おかしく伝えるという番組です。

市川 豊さん写真このときの業務内容としては「バラエティー番組制作のAD」としてあらゆることをやりましたね。タイムリーなネタを扱う番組ですから、リサーチもあり、取材撮影の手配もありとすべての雑用を引き受けます。ものすごく忙しいですよ。そんな中このままでいいんだっけ?とか、自分が本来やりたかったのは映画じゃなかったっけ?とか思うところもありまして。通常のバラエティー番組のAD業務もあるんですけど、たたき台になる映画の企画書を書いたりなんてことをしながらアピールはしてたんですよね。映画やりたい!って。

そもそも局でインターンシップをやったり、放送作家になったりというのは「映画をやりたい」という思いから始ったんです。キッカケは一本の映画、『恋する惑星』という作品なんですが、これを観に行った影響が大きかったですね。僕は、元々中学のときから野球少年で、野球ばっかりやってたんですよ。それがあるとき何となくこの作品のことを知り、非常に観に行きたくなって、始めて野球部の部活をさぼって観に行ったという…(笑)。野球のポジションはショートだったんですけど、このあたりから映画に興味を持ち始めて、野球からは徐々にフェードアウトしていきましたね。あははは。

「映画を作りたい」という希望からテレビ番組製作会社に入ったものの、大阪でのバラエティー番組のAD業務に日々忙殺されていた市川さん。しかし、日頃からのアピールが効をなし2年目に東京への異動が決まった。ビーワイルドの東京オフィスでは映画制作を行っているため、助監督として映画制作にも携われるようになったのだ。昔、学生時代に「映画の仕事をするにはどうしたらいいんだろう?」ってぼんやり思ってたんですよ。だってどうやったらそういう会社に入れるのか、なんてわからないじゃないですか。映画会社に入る? その映画会社ってどこにあるんだ? どうやったら入れてくれるんだ?って。今、この会社でこうやって映画の制作に関われるのも偶然が重なってたどり着けた感じですね。

市川 豊さん写真
▲メイキングは市川さんの手によるもの
助監督というのはADと同義語なんですけど、テレビの世界と違って映画の業界ではこう呼ぶんですよ。仕事内容としては、演出補助。衣裳・メイク・美術のアイデア出しや準備、専門部署との打合せなど、とにかく監督が意図する絵作りに役立つよう動くのです。また、メイキングの映像などを撮ったりすることもあります。本編とくらべると短い時間ですが、これも自分の作品。それが作れるというのはうれしいものです。『クライマーズ・ハイ』のメイキングも僕が撮ったものです。

映画制作の現場というのはテレビと少し様子が違っていてすごく大所帯です。また、社内の人だけじゃなく外部の色んな方が集まってくるのでどの人が何をやっているのか…というのがわかりにくいですよ(笑)。監督がいて、プロデューサーがいて、他にラインプロデューサーという人を集めてくる人がいます。外部の、フリーのスタッフを必要に応じて数を集め、人員配置していく仕事ですね。他にも制作セクションは食事やクルマ、ロケ地の手配をしたり。照明さん、録音さんや大道具、小道具の方もいますし、専門の職種にそれぞれ分かれています。こういうのもテレビとは違う、映画制作の歴史が元にあるからでしょうね。

これからこの業界を目指す人へアドバイスするとしたら、とにかくなにかアピールできる武器を持っているといいと思います。僕自身の経験でいえば、就職活動だからといって面接がビシっとできるとかそういうことよりも、真剣に一本脚本を書いて見てもらうとか。そういうことの方が本人がどんな人かわかると思うんですよ。僕自身も将来は監督として作品を作りたいという希望がありますからね、寝るヒマを惜しんで脚本書いてますよ。

こないだもちょっとチャンスが巡ってきたんです。脚本書かないか?っていう打診が来て、とにかく時間がないというんで正味2~3日で書いたんです。結果的にはポシャったんですけどね(笑)、でもそれが新しい出会いになってまたそのうちチャンスが来ると思うんです。そんなふうに自分からチャンスを見つけていくというのもこの仕事を続けていくモチベーションにつながりますね。

市川 豊さん写真 タイトル:『クライマーズ・ハイ』
公開表記:7月5日(土)より、全国ロードショー!
コピーライト:(C)2008「クライマーズ・ハイ」フィルム・パートナーズ

出演:堤真一、堺雅人、尾野真千子、  ほか
原作:「クライマーズ・ハイ」(横山秀夫著/文春文庫刊)
脚本:加藤正人/成島出/原田眞人
監督:原田眞人
製作プロダクション:ビーワイルド
配給:東映×ギャガ・コミュニケーションズ
市川 豊さん写真
市川 豊さん
アシスタントディレクター
株式会社ビーワイルド
ドラマ「クライマーズ・ハイ」
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